2019/02/16

ヒットする映画を人工知能(AI)で判定~脚本を分析して興行収入を予測するScriptBookのAIソリューション

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By Peter Caranicas, Managing Editor, Features, VARIETY
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Originally published in ICT Insights

AI企業ScriptBookの創業者は、もしソニー・ピクチャーズが2015年から2017年の間に制作する映画の取捨選択を人間でなく同社のアルゴリズムを使って行っていれば、多大な資金を節約できていただろうと語る。

映画業界にディスラプションをもたらす

チェコで開催されたカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2018におけるプレゼンテーションで、ScriptBook創業者のナディラ・アゼルマイ(Nadira Azermai)氏は、同社が2015年から2017年の2年間にソニーが制作した62本の映画の中から興行に失敗した32本の作品の脚本を分析した結果、そのうち22本の失敗を予測できたと発表した。

「もしソニーが当社のシステムを活用していれば、興行に失敗した22作を制作せずに済んでいたでしょう」

これは、AIと機械学習がもたらす新たな未来のハリウッド版だ。

ScriptBookのようなAIシステムは、映画制作・配給のエコシステムの大半を破壊する可能性があると言われている。脚本を読んで映画化を決定するプロセスを自動化し、制作会社が市場調査や試写にかける費用を大幅に節約できるようにするのだ。

2015年に設立され、ベルギー・アントワープを本拠地とするScriptBookは、脚本のテキストを分析して興行成績を予測するツールを開発した。アゼルマイ氏によれば、「当社のミッションは、AIによってプロデューサー、配給会社、セールス担当者、財務担当者のリスク評価をサポートすることで、映画ビジネスに革命を起こすこと」だという。 同社のクラウドベースのシステムはすでに商用利用されている。2016年にはベンチャーキャピタルから140万米ドル(約1億5,400万円)を調達し、成長を加速させている。 システムの仕組みはこうだ。ScriptBookのユーザーが脚本のPDFファイルをシステム上にアップロードすると、約5分後には以下のような事項を含む詳細な分析レポートを受け取ることができる。

アメリカ映画協会によるレイティング(年齢制限)の予測、登場人物の分析、主人公・相手役の特定各登場人物の感情評価 ターゲットオーディエンス(性別、人種など)の予測 興行収入の予測

主観的な意思決定を客観的な指標でサポート、成功率は84%

「このレポートをお客様にお見せするとまず最初に聞かれるのが、『コンピューターに脚本を読ませてこんな結果が出てくるなんて、どうやったら可能なのか?』という質問です」と同社のデータサイエンティストであるミシェル・ルーラン(Michiel Ruelens)氏は語る。

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CREDIT: MOVIESTORE/REX/SHUTTERSTOCK

その答えは、急速に発展する機械学習の分野にあるとルーラン氏は言う。同社のソフトウェアはまず人間から指示を与えられ、その後は学習プロセスを通じて膨大なデータベースを構築し、それを驚異的なスピードで検索する。

同社のソフトウェアはこれまでに既存の脚本6,500作からなる大規模なデータセットによってトレーニングされているという。

ScriptBookは配給会社にも価値をもたらすとルーベン氏は付け加える。「配給会社は複数の地域向けに上映権を購入するにあたって多大なリスクを負います。現状では、脚本を読んだ感想に基づく主観的な意思決定に頼っていますが、我々ははるかに多くの情報をもたらす客観的なパラメーターを提供することでこのリスクを軽減したいのです。専門的な知識にはもちろん価値がありますが、それを指標でバックアップすることも重要です」

同社によれば、ScriptBookのシステムがゴーサインを出した脚本は84%の確率で成功を収めるという。アゼルマイ氏は、これは人間が判断するよりも3倍の精度だと述べる。

「これは実証のためのツールでもあります。人間の意思決定の正当性を確認できるのです」

MeTooムーブメントが起きている今、ScriptBookは映画におけるジェンダー問題の解決にも一役買うとルーラン氏は言う。例えば、少なくとも2人の女性の登場人物が男性についてではない会話を交わすシーンが含まれているかどうか、といったことを検証する。また、2人の男性の会話、2人の女性の会話、男女の会話がそれぞれどのくらいあるかを計測する。

当然ながらこのシステムは完璧ではない。同システムは『ラ・ラ・ランド』の興行収入を5,900万ドル(約64億9,000万円)と予測したが、実際は1億ドル(約110億円)を超えた(もちろんこの誤差には同作品がアカデミー賞で数多くのノミネートや受賞に至ったことも影響している)。ただ、いずれにしてもScriptBookは制作費が高すぎないという理由で同作品にゴーサインを出してはいた。

テクノロジーが最終的にはクリエイティビティを殺すだろうと考えている人は多いが、それは正しくない、とアゼルマイ氏は言う。「ScriptBookのAIは特定の方程式に当てはまる映画を除外するだけです。興行的に成功する芸術的な作品を見つけ出すことには非常に長けています」

ScriptBookで脚本を分析してレポートを生成するには1作品あたり5,000ドル(約55万円)の料金がかかるが、1社で複数の作品を評価したい場合には割引価格も設定している。

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