2019/01/30

ファーウェイの基礎科学研究に対するアプローチ
~科学は人類の未来を照らす灯台~

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HuaWaveはファーウェイ・ジャパンが運営するデジタルオウンドメディアです。「つながる、つなげる Connected Media」をコンセプトに、人と人、人とテクノロジー、人と社会をconnectする多彩なコンテンツをお届けします。

研究開発はファーウェイの継続的な成長を支える要です。毎年売上の10%以上を研究開発に投資し、過去10年間の研究開発費は総額3,940億人民元(約6兆8,123億円※1)にのぼっています。その対象は応用技術の開発にとどまらず、直接的・短期的な商用化にはつながらない基礎研究にもおよび、今後は年間の研究開発予算150~200億米ドル(約1兆6,650億円~2兆2,200億円※2)のうち20~30%を基礎科学研究に割り当てることを計画しています。

ファーウェイが基礎科学研究をどのように位置づけ、どのようなアプローチで支援しているのか、最近の取り組みと経営陣の言葉を通じてお伝えします。

※1 1人民元=17.29円で換算(2017年12月29日現在)
※2 1米ドル=111円で換算

5Gの主要技術「Polar符号」の父 アリカン博士の功績を称える

2018年7月26日、ファーウェイは5Gの実現に不可欠な「Polar符号」を発明したトルコ・ビルケント大学教授のエルダル・アリカン(Erdal Arikan)博士を深セン本社に迎え、同氏が通信技術の発展に果たした多大な貢献を称える式典を開催しました。(プレスリリース

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エルダル・アリカン教授(右)にメダルを授与するファーウェイ創業者兼CEO 任正非(レン・ジェンフェイ)。パリ造幣局がデザイン・製造を手がけたこのメダルには、世界を前進させる新たな通信技術の重要性を象徴するバカラ製の赤いクリスタルを手にした勝利の女神が彫られている

アリカン教授が2008年に発表したPolar符号に関する論文は、通信ネットワークのデータ伝送速度と信頼性を最大化する、これまでにない新しいアプローチを定義するものでした。ファーウェイは2010年、5Gの研究開発を進めるなかでPolar符号の可能性に気づき、アリカン教授の発明を基礎に複数のブレークスルーを実現し、学術的研究の段階にあったPolar符号を実用化へと導きました。

式典においてアリカン教授は、「ファーウェイの経営陣や技術者のビジョンと技術的な貢献がなければ、Polar符号が10年に満たない短い年月で、ラボにおける理論から標準規格にまでなることはなかったでしょう。技術者の一人として、アイデアが現実になるのを見届けることほど報われることはありません」と受賞の喜びを語ってくださいました。

また、式典後のメディア取材ではファーウェイとの関係について、「実際のところ、私個人はファーウェイとビジネス上の関係を結んでいるわけではありません。ファーウェイは私が大学で取り組む研究をサポートし続けてくれましたが、支援に付随条件が伴うことなく、私の研究の独立性と自主性を尊重し、研究に口を出すことも、まして報告書の提出や特許の権利を要求してきたことも一度もありませんでした」(『財経』微博(Weibo)掲載記事より)と述べています。

式典では同時に、ファーウェイ社内で標準規格の策定と基礎研究に携わる100人以上の科学者の表彰も行いました。とりわけ5G分野において、業界パートナーと協力して重要技術の検証を進め、標準仕様の策定を推進し、3GPP Release15標準仕様の策定に重要な貢献を果たした科学者の功績を称えました。

表彰に際し、ファーウェイ 輪番会長の徐直軍(エリック・シュー)は「5G標準仕様は、基礎研究と無線通信技術の進歩に向けたグローバル規模の努力の結果です。これらの標準仕様が形作られるまでには、何万人という科学者や技術者、そして世界各地の企業による数十年にわたる献身がありました。アリカン教授と学術界の皆様、科学者、そして5G技術の研究開発に貢献したすべての当社従業員に深く感謝いたします」と称賛の念を表しました。

また、「5G標準仕様の策定は、新たな旅路の始まりに過ぎません。ファーウェイは今後も、Polar符号を含む5G技術が社会により大きな価値を迅速に創出できるよう取り組んでいきます。同時に、ファーウェイとアリカン教授がそうであったように、企業と学術界の緊密なコラボレーションが持続し、より多くの科学的な驚きを生み出すことで、ICT産業と社会全体の発展が加速することを願っています」と、基礎科学研究支援へのさらなる意気込みも述べています。

Polar符号とは

通信ネットワークにおいて、特定の帯域幅を用いた際に誤りなしでデータ伝送が可能な最大通信速度「シャノン限界」に迫ることを初めて可能にした符号化スキーム。1948年にベル研究所のクロード・シャノン(Claude Shannon)が情報伝送におけるチャネル容量の限界を提示して以来、通信の理論研究と技術開発ではチャネル容量を最大化できるチャネル符号が重要なテーマとなり、とりわけモバイル通信においては信頼性を確保できる高性能なチャネル符号化技術が求められてきました。

2007年にアリカン教授が発見したPolar符号は、符号化性能を大幅に改善し、幅広い範囲の符号の長さや符号レートで最高のパフォーマンスを発揮できるという強みを持つうえ、符号化と復号化の複雑性を低減します。発表から約10年にわたる継続的な最適化を経て、2016年には移動体通信に関する国際的な標準化団体である3GPPにより、5G New Radio(NR)のコントロールチャネルに用いる正式な符号化スキームとして採用されました。

大学・研究機関とのコラボレーション

ファーウェイは2010年から、世界各国で通信技術やコンピューター科学の分野を中心に革新的な研究を行う大学・研究機関に研究資金を提供するファーウェイイノベーションリサーチプログラム(HIRP)を実施しています。幅広い公募によりプロジェクト単位で3万~7万米ドル(約333万~777万円※1)を提供するオープン型、より大規模かつ密接な協業を行うフラッグシップ型の2つのプログラムを通じ、英国マンチェスター大学内の国立グラフェン研究所(写真左)をはじめ、ケンブリッジ大学、シンガポール国立大学、ドイツ・フラウンホーファー研究機構など、これまでに1,000以上の大学・研究機関に資金を提供しています。

このほか、カリフォルニア大学バークレー校英エディンバラ大学ではAIやロボティクス分野の研究における戦略提携を締結。ケンブリッジ大学では、ブリティッシュテレコム(BT)とともに2017年からの5年間で2,500万ポンド(約36億2,500万円※2)の研究資金を拠出して共同研究グループを設置し、フォトニクス、ネットワークインフラ、メディア技術に重点を置いた研究を推進するとともに、通信技術の社会的価値を高めることを目指しています(写真右)。

日本でも、HIRPに10以上の大学が参加しているほか、国内有数の大学・研究機関と年間20件以上の共同研究を行っています。

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※1 1米ドル=111円で換算
※2 1ポンド=145円で換算
ファーウェイ経営陣が語る「科学」
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ファーウェイ輪番会長 徐 直軍(エリック・シュー)


「企業の研究開発がビジネスでの結果に注力する傾向がある一方で、大学は決して直接的な利益に結びつかない数学、アルゴリズム、材料化学、その他の応用分野に時間を割いています。最終的に研究を通じて利益が生まれたとしても、理論と商用製品との間の溝を埋めるには数十年を要することもあります。こうしたプロセスにかかる時間を短縮するのが、大学と企業間の連携です。民間企業、学術界、研究機関における知識とリソースの交流は『ナレッジの移転』といわれ、科学とテクノロジーの進歩に向けたきわめて重要な原動力になっています」
「当社と大学とのパートナーシップを通じて実現した研究結果は、教授、博士号を持つ学生、大学院生による論文等を通じて世界中に発表・公開されます。大学研究を支援する他の企業――中国の大学を支援する米国の企業も含め――と同様に、ファーウェイは自社が支援する研究の結果に対する独占的な所有権やアクセス権を有していませんし、発表する内容に対して指示することもありません。科学がボーダレスになっていくなか、当社はパートナーシップの成果ができる限り多くの人に恩恵をもたらすことを願っています」
(2018年7月19日、英Financial TimesのOpinion欄に寄稿した署名記事「ファーウェイの学術界とのパートナーシップに対する米国議会の誤った疑念」より。こちらから全文をお読みいただけます)


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ファーウェイ創業者兼CEO 任 正非(レン・ジェンフェイ)


「ファーウェイは私利私欲なく科学者をサポートします。論文や特許などの成果を独占するつもりはありません。ただ、『知る権利』――成果に限らず、失敗も含めた経過を知る権利――さえあればよいのです。科学者は灯台のように我々の、そして我々以外の人たちの行く先を照らしてくれます。我々が自分たちで灯台を所有する必要はなく、ビジネスへの応用のために研究に干渉することもしません」
(2016年10月、研究開発に従事する社員に向けたスピーチより)
「我々は長い時間軸で科学者の話を聞かなければなりません。すべての内容に現実的な意味があるかどうかにこだわるべきではないのです。フェルマーの最終定理の証明には350年もかかったものの、フランス経済にさほど貢献したわけではありません。しかし、目先のことにとらわれていては、人類は探究も前進もできないでしょう」
「我々の投資目的は、社会を発展させる画期的な研究成果を生み出す人を支援することです。……研究成果が当社にとってすぐに役に立たない可能性もありますが、それでも社会への貢献にはなるのです」
(2018年6月、欧州研究所の研究員との対話より)

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