2019/06/22

【そうだ、中華食べにいこう!by 80C】中国全省食巡り1 上海へ行ったら迷わずこれ! 中国全土を食べ歩いてきたライターが選ぶローカルフード3品

80C (ハオチー) は「中華料理がわかるWEBメディア」をキャッチフレーズに、株式会社中華・高橋が運営するウェブメディアです。気軽なランチ情報から、他では読めないディープな中国料理情報まで、日本および中華圏の中華料理情報がここに。メディアを通じて、みんなで中華の楽しさを体験できる機会を創出していきます。
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これを読めば中国各地の食文化がわかり、中国の地理に強くなる!『中国全省食巡り』は、中国の食の魅力を伝える連載です。
text & photo:酒徒(しゅと)
何でもよく飲み、よく食べる。学生時代に初めて旅行した中国北京で中華料理の多彩さと美味しさに魅入られてから、早二十数年。仕事の傍ら、中国各地を食べ歩いては現地ならではの料理について調べたり書いたりしている。北京・広州・上海と移り住んだ十年の中国生活を経て、このたび帰国。好きなものは、美味しい食べものと知らない食べものと酒。中国全土の食べ歩きや中華料理レシピのブログ『吃尽天下』を更新中。Twitter:@shutozennin

広大な中国では、地域が異なれば国が変わったかのように料理も変わる。「中華料理」「中国料理」などという言葉ではひとくくりにできない多彩さがあるのだが、今のところ、日本で知られているのはその一部でしかない。

そこで、毎回中国の省・直轄市・自治区からひとつの都市を選び、その土地ならではの料理の中から僕が忘れがたい味を3つ厳選して紹介していくというのが、この連載の趣向だ。

そうは言っても、星の数ほどある名物料理の中からたった3つを選び出すのは、容易なことではない。人気順で選んでも、知名度順で選んでも、必ず異論反論が出るだろう。そこで、選定基準はあくまで私的なものとした。

  • その料理のことを思い出すだけで、僕が思わずニヤけてしまうもの
  • その地域にもう一度行くとしたら、僕が必ず食べたいもの(実際に食べているもの)
  • その料理への思いが高じて、僕が自分でも作って食べたいと思うもの(実際に作っているもの)


要するに、「筆者の思い入れの強さ」である。あまりにも我の強い基準で恐縮だが、ああでもないこうでもないと悩みに悩んで選び出した各地の料理は、いずれも普遍的な魅力を備えているはずだと信じている。

人口2,500万人の国際都市・上海

ということで、第1回のテーマは、僕がいま(2018年6月当時)住んでいる上海市。上海市は中国に4つある直轄市のひとつだ。

かつては長江河口の南岸に位置する小さな港町に過ぎなかったが、19世紀後半に対外貿易港として開港されてから約2世紀を経て、人口2,500万人を誇る世界最大の国際都市のひとつに成長した。

好況に湧き、数か月単位で街の姿が変わっていくかのような今の上海では、飲食業界も変化が激しい。

目が飛び出るような高級店や今風のチェーン店が続々登場する一方で、個人経営のローカル店は家賃高騰、強制立ち退き、営業許可証の取締強化などにより段々と姿を消している。

華やかな高級料理よりも市井の人々に親しまれているローカルフードを愛する僕としては、応援の意味も込めて、3つの料理を選んでみた。

これぞ上海の“ガテン系”めし!
菜飯(菜飯/上海風炊き込みご飯)

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菜飯

菜飯(ツァイファン)は、上海ならではの炊き込みご飯だ。上海の街角には、菜飯の専門店があちこちにある。

店頭で巨大な鉄の平鍋を使い、数十人分を一気に炊く様子は一見の価値あり。一方、家庭で作る場合は、炊飯器を用いた簡易レシピが親しまれている。上海人にとっては、外でも家でも食べるソウルフードだ。

店や家庭の数だけ作り方があると言われるような料理だが、最も原始的だと思われるのは、細かく刻んだ上海青(チンゲン菜)を炒めてから米と水を加えて炊き上げ、最後にラードを混ぜ込む重油菜飯

その後、上海が豊かになるにつれて、刻んだ咸肉(塩漬け干し豚肉)や広式腊腸(広東風ソーセージ)も一緒に炊き込むのが定番になったようだ。

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大きな鉄鍋で豪快に作られる重油菜飯

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こちらの店の菜飯は咸肉(塩漬け干し豚肉)入りだ

ラードでコクと輝きを増したご飯をガバッと頬張る。たっぷりと混ぜ込まれた上海青のシャキシャキした食感。咸肉や広式腊腸の力強い旨味。地味な見た目ではあるが、豊かな味わいが口の中に広がる。そこに香ばしいおこげが混じっていれば、思わず目尻が下がる。

菜飯には、黄豆骨頭湯(大豆と豚骨のスープ)を添えるのがお約束だ。味付けは塩だけだが、豚骨の豊かな旨味がわずかな塩で膨らむ。ほろほろの大豆が美味しい。途中で香りの良い辣椒油(ラー油)を垂らせば、一杯で二つの味が楽しめる。

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黄豆骨頭湯。やさしい味に癒される

さらに、トッピングを足すこともできる。咸肉(蒸した塩漬け肉)、蹄膀(豚足の醤油煮込み)、爆魚(川魚の揚げ物)、素鶏(大豆由来のモドキ肉)など、上海のローカルフード界ではお馴染みの面々である。いずれもボリュームたっぷりで、ご飯が進む濃い目の味付けが特徴だ。

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熱々の咸肉(蒸した塩漬け肉)。厚みに興奮!

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ド迫力の蹄膀(豚足の醤油煮込み)。むっちりとしたゼラチン質がご馳走!

余談になるが、上海の小吃(軽食・おやつ)には「ガテン系」が多い。19世紀の対外開港以来、上海の急速な発展に伴って大量の肉体労働者が街にあふれ、彼らが好むジャンキーでエネルギッシュな料理が定着した結果だと思われる。

それが今や老若男女に広く親しまれているところが、この街の食文化の面白さだ。そういった上海の小吃の中で、ご飯ものの代表選手がこの菜飯なのである。

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