2019/03/22

深セン空港が目指す、AIを活用したインテリジェントな次世代空港

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深セン機場集団(Shenzhen Airport Group)CIO(最高情報責任者)張淮(ジャン・フェイ)氏によるHuawei Connect 2018での講演の内容をもとにした記事です(ICT Insightsより)。

Huawei Connectにお集りのこれほどたくさんの皆様に向けてお話ができて光栄です。実は深セン宝安国際空港でも、これに似たような状況が時折発生します。天候上の理由などによってフライトの大規模な遅延が発生すると、限られたスペースの中に8,000名を超える乗客が足止めされてしまうのです。空港としては、こうした状況にどう対応すべきでしょうか? 私は、AIのような新しいテクノロジーが当空港を含む世界中の空港でこの問題を解決してくれるだろうと考えています。

1991年に開港した深セン空港は、同市自体と同じく、急速な発展を遂げてきました。ビジネス用途の利用客が全体の50%を占めていた2016年、当空港は国際空港評議会(ACI)から世界最優秀空港に選ばれました。旅客数は2017年に4,500万人に達し、2018年には5,000万人、さらに貨物量も110トンを超えると見込まれています。深セン空港は、広東・香港・マカオ一帯の大湾区(グレーターベイエリア)における中核的な交通ハブとなっているのです。

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深セン機場集団CIO 張淮(ジャン・フェイ)氏

大湾区の発展を支える次世代空港

深セン空港は、多くの滑走路やターミナルを管理・統制するという複雑な課題と日々戦っています。これまで長きにわたってさまざまな解決策を模索してきましたが、当空港の情報部門は目の前のビジネスニーズに対応するのが精一杯で、先回りして対策を打つ余裕はありませんでした。

2017年、国際民間航空機関(ICAO)が深セン空港を未来に向けた次世代空港のモデルとすることを決定しました。当空港が選ばれた第一の理由は、ここでのビジネスシナリオや運用の複雑さは多くの空港が抱える課題に広く共通するものだからです。第二に、深セン市には科学技術分野の優れた企業が数多くあり、そうした企業から協力を得られることが見込まれたからです。

我々の目標は、空港運営におけるグローバルリーダーとなること、大湾区の発展をサポートすることです。具体的には、主に次の3点にフォーカスしています。

1つめは、プロアクティブなセキュリティ確保です。デジタルプラットフォームを活用すれば、セキュリティリスクの30%を特定することができます。デジタル技術の導入によって、中国国内で最も安全な空港トップ3の1つとなることを目指します。

2つめは、限られた敷地を効率よく使用することです。航空機の着陸から次の離陸までの時間を短縮し、定時運航率を85%に向上し、滑走時間を1フライトあたり1分間まで縮めます。

3つめは、エンドツーエンドのサービスで旅客のエクスペリエンスを向上することです。搭乗までの待ち時間を15%短縮し、手荷物預入セルフサービスの利用率を30%以上まで増加させます。

ファーウェイとの協業によるAIを核としたイノベーション

AIをはじめとする新たなテクノロジーによってこれらの目標を達成するために、当社はファーウェイとの協業を開始しました。

ファーウェイが掲げる「プラットフォーム+エコシステム」戦略に従い、両社は未来に向けたデジタルプラットフォームの構築を進めています。IoT、ビッグデータ+AI、ビデオクラウド、GIS(地理情報システム)、統合コミュニケーションプラットフォームなどを統合し、他のベンダーの協力も得て構築するこのエコシステムでは、AIが重要な役割を果たします。例えば、AIビッグデータを活用してナレッジグラフ、機械学習、自然言語処理といったアプリケーションを実現するほか、AIビジョンにより顔・人体認知、車両の特定とトラッキング、パノラマ画像生成などを行います。このプラットフォームを通じて、セキュリティ、運行管理、旅客向けサービスを提供していきます。

  • セキュリティ:プロアクティブでインテリジェントなセキュリティ確保と協調的な危機管理
  • 運行管理:インテリジェントで効率的な航空運行管理とリソース配分
  • 旅客向けサービス:エンドツーエンド、カスタマイズ、ビジュアル化を特長とする、ネットワークにつながったセルフサービス型サービス

AI活用で運営効率を向上

深セン空港の管理上のゴールは、インテリジェントでビジュアル化されたフライトサービスを提供することです。ファーウェイとの協力のもと、これまで1年間かけて革新的なテクノロジーを活用した飛行場運営の効率向上プロジェクトに取り組んでいます。

ボーディングブリッジのインテリジェントな配置:ビッグデータとAIによってボーディングブリッジの利用を最適化し、シャトルバスの使用回数を減らします。現在までに、搭乗口からの直接搭乗の割合を少なくとも10%向上しています。つまり、1,000回のフライトのうち100回はシャトルバスを使用せずに済むようになったのです。これにより、利用客のエクスペリエンスは大きく改善されています。

  • スマートな飛行場灯火システム:IoTとAIを活用した個別の灯火管理、飛行経路計画、コンフリクト検出によって、離着陸前後の滑走時間を短縮しています。大規模な空港では着陸から旅客の降機完了まで通常20分以上かかりますが、これを20%、1フライトあたり3~4分短縮できれば、1日1,000フライトでは計67時間もの短縮になるうえ、エネルギーの節約と環境保護にもつながります。
  • 地上業務のビジュアル化:映像とAI技術により、飛行場内に設置されたIoTセンサーから自動で情報収集し、総合的なコンピュータービジョン解析と監視を実施します。こうした業務はこれまで人間によって行われており、リスクの高いものでした。

より快適な旅行体験を実現


インテリジェントでビジュアル化されたサービスを提供することに加え、お客様の旅行体験という点でもファーウェイと共同でイノベーションを推進しています。次世代空港では、セルフサービスによるチェックインや手荷物預入、複数回にわたるセキュリティチェック、スマートな発着案内表示システム、顔認識による搭乗者確認、搭乗最終案内、VIPサービスなどによって、効率よく快適な旅行体験が実現するでしょう。深セン空港では、AIが支援する映像技術(顔認識など)によるセルフサービス型の情報アクセス、利用客の移動経路分析、利用客と空港設備、空港と航空会社間をデジタルにつなぐことで可能になる待ち時間分析などの導入を目指しています。

セキュリティチェックについては、ほとんどのお客様は危険ではないという理解から、厳格なチェックはごく少数の旅客に対して必要な場合にのみ適用すべきと考えています。そのため、民用航空局をはじめとする関係機関とともにシンプルなセキュリティチェックの方法について議論した結果、差別化分類によるセキュリティチェックの導入を開始しており、今後さらにこれを精緻化していきます。

ビッグデータ解析による顔認識を全旅客に実施することも目標です。顔画像を用いたアクセスコントロールができれば、職員によるID確認は不要となり、出入国審査の待ち時間を短縮することができます。

世界トップレベルの空港を目指して

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© metamorworks - stock.adobe.com

これだけの規模のイノベーションを実現するには、包括的なプランが必要です。当空港はファーウェイを含むエコシステムパートナーと協力し、次世代空港の開発と構築を進めてきました。1年半かけてビジネスシナリオをシンプルな形に整理し、インフラ、データアーキテクチャ、プラットフォームを統合しました。トップレベルの設計からアーキテクチャモデル、データガバナンスポリシーまで総合的な計画を推進し、不確実性や反復、エコシステムを管理しながら共同イノベーションを実現し、次世代空港のモデルの確立に向けた業界標準の草案を作成しました。

2018年8月28日、北京首都航空のフライトが機体破損によりマカオ空港への着陸に失敗した後、深セン空港に緊急着陸して事なきを得ました。深セン空港が着陸先に選ばれたことは、当空港の設備に対する信頼の証左と言えます。革新的なテクノロジーの導入を進めていけば、その信頼をさらに高めることができるでしょう。

深セン空港は今後もファーウェイや他のエコシステムパートナーとの協業を続け、シナリオ別のサービス提供、プラットフォーム上でのシナリオ管理を実現するとともに、こうしたプラットフォームをエコシステムに開放していきます。セキュリティ、効率、旅客のエクスペリエンスにフォーカスし、世界トップレベルの次世代空港を目指します。

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